幻魔大戦

Genma

平井和正の幻魔大戦です。
昔からこの本には賛否両論ある事は十分承知していますが、私にとっては十分面白いです。ただこの世界を十分堪能しよう、等と思ったらとても疲れる事は間違いないでしょう。私がこの本に出会ったのは、多分中学生の頃だと思います。おそらくその頃に出会ったからこそ、この本を面白いと感じる事が出来るのかもしれません。

宇宙の根源的悪を「幻魔」と呼び、悪と戦う少年「東 丈」とその仲間。目覚めとともに大き過ぎる超能力を持ってしまったために、自ら超能力を封印し、善の力を集結させるために一人で戦い始める「東 丈」、本当の善を呼び起こすものは超能力などではなく、厳し過ぎるほどの自己努力しかないと説くが、「東 丈」の超能力だけに引き寄せられる人々や、「東 丈」のカリスマ性に魅力を感じるだけの人々、その中で世界は悪の力に取り込まれて行き、ハルマゲドンへといやおうなしに向かって行く。

と言うような内容なのですが、序盤の超能力戦争をピックアップした部分と、中盤以降の「東 丈」が本当の人間の善の力を引き出すために取る行動の対比が面白いと言えば面白いです。宗教臭いと言う批判も多いようですが、本当でない宗教とは、というテーゼも示されており、今の時代と比較して見るとなかなか面白い部分があります。

最近のいわゆる新興宗教問題等は、根本的に教育の問題、と言うよりはきちんと考える力が無い人々が増えた事がその原因の多くを占めていると思います。この本が出たのはずいぶん昔ですが、基本的な問題は当時と何も変わっていないと感じます。またもっと昔にも同じだったのでしょう。

またこの本はある種の危険性も持っています。まだ私が少年の頃、この本のように「本当の救世主」がどこかにいるのではないかと、興味を持った事もありました。そのため一時宗教と言うものに非常に興味を持ってしまった事があります。幸いにして変な事にはならなかったのですが、きちんと考える心、自分自身の中を裏表なく覗けるような人間、そういう人になる事の大事さを思い知った事もありました。

まあ、お話として読んでも面白い事は間違いないと思います、その際は始めに「幻魔大戦」をその後に「真・幻魔大戦」を読む事をお勧めします。そしておかしい部分もあると言う事を覚悟して、まずは最後まで読んで見るべきでしょう、ただ現在ではこの本のオリジナルを店頭で見つける事は不可能のようです、廃版になっている事はもちろんですが、いろいろな派生を生んでいるので、実は私も最近の動向はよくわかりません(^^ゞ。

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この記事を書いた人

もとメンエス店長、今は別な仕事になりました。
ぽちぽち書きます。

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