リチャード・ストールマン

Gnuhead

私は彼を非常に尊敬しているのですが、それは理想を掲げ、それを実現すべき方法を考え出し、それを実行しているからに他なりません。

これから書こうと思っている話は私が、彼についての本やネット上でのインタビュー、彼について書かれた文章等から得た印象を元に書かれています、万が一間違いがあるかもしれませんがそれは私の間違いであって、彼が間違っているのでは無いかもしれませんので、ご了承ください。
彼がフリーソフト(自由なソフトウェア)を推進する事を始めたのはずいぶん昔の事でした。彼は MIT に在籍していた学生であり、その頃のコンピュータ環境は自由であって、誰でもが自由に何でも出来うるような環境だったようです、大学であると言う事もあったのでしょうが、その気になれば誰でもがそのシステムを破壊する事さえもが可能だった様です、ただそのような事は起きずにシステムの不具合を直したり、新しい機能を付け加えたりと言う良い方向に向かっていたようです。

それが、ソフトウェアが商品として扱われるようになり、お金もうけの道具となり、特許等で保護されるようになり、機密保持条項等にサインしないとそのソースコードにアクセス出来ず、またそのコードを流用する事も出来なくなって行く、そのような流れになって行くのがとても我慢が出来ず、彼は FSF (フリーソフトウェアファウンデーション)を創設するようになります。

Copy Left で名を馳せるようになるのですが、彼の主張は穏やかであって、良く聞けば誰でも納得するような事が元になっています。

ソフトウェアは自由であるべきであって、もし誰かが良いソフトウェアを持っていたら、それをコピーしてもらってくる事が出来れば、その良いソフトウェアはどんどん広がって行って、みんなが幸福になれるし、万が一そのソフトウェアに不具合があっても、そのソフトウェアが自由であってソースコードが公開されているのであれば、その不具合に気付いた誰かが直してあげる事も出来る。したがってもしあんまり良くない出来だったとしても、みんなで直して良いソフトにする事も出来る、わけです。

しかし、現実には商用のソフトウェアは自由でない事がほとんどで、もし自分が欲しい機能が付いていなかったとしても、誰かが、あるいは自分がそのソフトウェアを直す事は出来ない。そして、もし自分が自分だけのためにソフトウェアを作ったとしても、そのソフトウェアのソースコードが誰かの特許に抵触するようなら、どこかの誰かに訴えられるかもしれないし、そのソフトウェアを使う事も出来なくなってしまう。

もしソフトウェアが自由を保証されるなら、みんなでそれを共用出来るし、みんなが友達になれるかもしれない、何も恐れる事は無いと言う事になり、もしソフトウェアが自由でないなら、そのソースコードは秘密にしなくてはならず、友達だからと言ってそれを見せたり教えたりは出来なくなってしまう、訴えられるかもしれないし、逮捕されるかもしれない。

彼はそして完全に自由なシステムを求めて行動を開始し、手始めにソースコードを書くためのツール、Emacs を作り、そのソースコードを実行ファイルにするための道具 GCC を作ります。そして完全に自由なシステムを目指してそれを GNU (Gnu is Not Unix)グニューと呼び、UNIX をベースに次々とソフトウェアを作って行きます。

彼の凄い所は、理想に向かって妥協をせず、自由で高性能なソフトウェアを自ら作り、さらには仲間を募って協力を引き出し、今でも確実に行動を進めている所では無いかと思うのです。Copy Left と呼ばれるような GPL (GNU General Public License)という自由である事を保証するライセンスを作り、このライセンスにを使用する、あるいは準拠するとされるソフトウェアは膨大な数に上ると思われます。

一方では現実的には GPL では困る、と言うケースもよくあるようで、そういう議論もよく見るのですが、残念ながらこの辺の細かい所では、ソフトウェアを生業にしているわけでは無い私にはよく分からない所もあるので、上手くは言えないのですが、要するにみんなで仲良くして楽しくくらそうよ、と言っているのだと思うのですよね。

彼に対する批判は良く耳にするのですが、彼が自分の理想のため、ひいてはみんなの自由のために行動してきた実績と言うのは大変な物だと思うのです。

だからみんな GPL にしようと言うわけでは無いので、誤解しないで欲しいのですが(と言うかこの辺の実際的な議論になってくると難しくてよく分からないんです(^^ゞ)少なくとも彼自身は私にとって尊敬に値する人物である。と言うことです。

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この記事を書いた人

もとメンエス店長、今は別な仕事になりました。
ぽちぽち書きます。

コメント

コメント一覧 (2件)

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    これは、ローレンス・レッシグが私にとってのヒーローというのに似ているのかも知れません。

    でも、レッシグ教授の活動にしても、その前段としてのストールマンの功績がなければ難しかったかも知れず、だからやっぱりストールマンというのはまさしく現代のビッグネームであると思います。

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    リチャード・ストールマンの事自体はずいぶん前から耳にしてはいたんですよね、ただ当時は自由と言う物に対してそれほどの考えも持ってはいなかったし、彼も理想主義的ではあるけれども、世間に受け入れられる事は無く、そのうちに消えてしまうような人だと思っていたんです。それが一定以上の支持を受け続けることになるとは信じられなかったんです。

    そのうちにコンピュータ世界に対する不条理さを知り、なおかつ彼が今でも活動していて、妥協をせず少しずつではあるかもしれないけれども前進し続けているんだと知った時には、感動してしまったのです。

    私は一時期 FreeBSD に傾倒していた事もあって、BSD ライセンスと、GPL とではどちらが完全な自由なのか?、と言う事に対してもはっきりとは答えられないのですが、彼のような人が今でも活動して行けると言う事は素晴らしい事では無いかと思ったんです。

    理想を持って生活のすべてを妥協せず、幸福に生きて行ける人、と言うのはそれだけでも尊敬に値するんじゃないかと思っているんです。

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