夢枕漠さんの、餓狼伝の久しぶりの新刊、とは言っても去年の暮れに出たのですが、やっと読む事が出来ました。新餓狼伝、等となっている物だから少し身構えて読み始めたら、なんの事ない以前の続きでほっとしました。
何回も書いているのですが、夢枕漠さんは筆が遅い事で知られていて、この餓狼伝もあと2巻、あと3巻、とか言いつつ「新」も入れればこれでもう15巻目、おそらくは彼の特徴であるのでしょうが、話がどんどん膨らんで行って止めようが無くなるのでしょう。まあ、中途半端に広がって行ったのを閉じられるよりは、少し待つのを我慢しても面白い本が出る方が良い、と言う事はありますね。
この本いわゆる格闘物なのですが、夢枕漠さんの本を読んでいるとこの人は形はどうあれ人と人との闘いを書くのが本当に好きなんだろう、そう思わずにはいられません。格闘物には限らないのですが、棋士の闘いを書いた本、自分自身との闘いを書いた本、彼が書くと山に登る話も闘いの本になってしまいます。
最終的にはどんな闘いでも自分自身との闘いと言う事は避けては通れないのだと思うのですが、まさしくかれも自分自身の小説で持って自分と戦っているのだと思います。
彼の本を読むとそのことがはっきり伝わってきます。だからこそ20年以上待っている物語もあるほど、飽きずに待っていられるのだと思います。この本もちょうど私が読み始めて10年になります。
これもまた以前にも書いているのですが、非情な言い方になってしまうかも知れませんが。どうしても彼には死ぬ前に全ての物語を完結させていただきたいと願っています。
色々な、とても面白い物語が中途半端なまま残されたら、その欲求不満は膨大な物になるでしょう。
新・餓狼伝〈巻ノ1〉秘伝菊式編 価格:¥ 840(税込) 発売日:2006-12 |
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