ここ二三日忙しくて少し日時をごまかしたりしておりますが、それはさておき、筒井康隆氏の「俗物図鑑」です。今でも普通に読める彼の作品としては出色の出来だと思います。「彼にしては」非常にバランスの取れた作品に仕上がっていて、お得意のドタバタもあちこちにちりばめられている程度で、読みにくい何てことは無いです。
実は筒井康隆にのめり込んでいた頃がありまして、それは中学生の頃だったのですが、大人の世界を垣間見せてくれたある種独特の「ほんとうに独特ですが」面白い作品群でしたね、そのうち書きたいと思っている作品があってそれは「脱走と追跡のサンバ」と言う本なのですが、彼のドタバタ劇の最高潮とも言える作品で、何しろ読むだけで脱力してしまうくらいに疲れてしまうのです。
今読めるか?と自問自答すると少し自信が無いほどなのですが、何時か書いて見たいと思います。
さて本書なのですが、何にもしてない評論家集団が世間から圧迫され、ついにはろう城、警察の出動、終いには自衛隊まで出てきて殲滅されてしまう、極端に言えばそういうお話なのですが、評論家集団を主人公に持ってくる当たり、筒井の面目躍如と言った所では無いでしょうか?
書かれている細かい情景はさすがに古くなっていますが、本質的には今読んでも何の不思議も無い、そういう作品に仕上がっているのはさすがと言うしかないと思います。
一般大衆とマスコミ、これは現在のインターネット社会においてさえこの小説とさほど代わりが無いと言えるような気がするほどで、日本人と言うのは昔からバカだったんだなあ、と納得してしまうような内容です。
昔バカだった人が大人になって、バカな子供を育てる訳ですから、世の中良くなる訳はありません。
この本いつもは写真もトリムしてきれいに使用と努力するのですが、敢えて気合いが入った所を見てもらおうと、大きめにカットして見ました。もう何回読んだか分からないほどです
昭和55年十三刷、となっていますから 1980年ですね。27年も前の本です。中学生の頃にこんな本を読んでいるんだからきっとひねたガキだったんじゃないかと思うのですが、今にして思うと、私の読書の傾向と言うのはこの頃にほとんど全て決まってしまったような感があります。
コレまた面白いです、読んで見てください。異形の筒井ワールドに包まれる事間違いなしでしょう。これで飽き足らない時には「脱走と追跡のサンバ」が待っておりますので。
ちなみに「脱走と追跡のサンバ」を読んだがさっぱり分からなかった、と言う方がおりましても当方では関知致しませんのであしからず。分かるまで読み込んでください(そのパワーがあればですが)。
俗物図鑑 価格:¥ 820(税込) 発売日:1976-03 |
脱走と追跡のサンバ 価格:¥ 571(税込) 発売日:1996-12 |
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