空談師

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篠房六郎の「空談師」です。1巻目の写真なのですが、私はもしかするとこういう絵が好きなのかも知れませんね。粗削りなタッチの迫力のある画、それでいて色彩感覚もなかなかだと感じます。
今回改めて表紙を見て感じたのですが、皆川亮二の「ARMS」にちょっと雰囲気が似てるかもですね。ストーリー的にも重めな所がにていると言えば似ているかも知れません。

似ていると言ってもそんな感じくらいで内容的には全然違うのですが、こういう雰囲気が好きなのかもですね。

架空のネットワークゲームを舞台にしたストーリーはかなり独特の世界観を持っていて難解な所もあり、評判はと言うと賛否両論のようなのですが、私としては「良い」と言い切ってしまいたいですね。

話の展開がわかりにくい、用語が難解。と言った意見もあるようですが、「ナツノクモ」を先に読んでしまった私としては導入感としては案外分かりやすいような気がしました。

架空のネットワークゲーム上での話で現実の人間が全然出てこない所がこの独特の読後感をもたらすのでは無いかと思うのですが、話の隙間からのぞくキャラクターの隙間からのぞく現実の人間の存在。と言う微妙な表現のしかたが妙に私の心をくすぐるのです。

不自由な伝達能力を持つネットワーク接続だからこそ現れてくる人間のもどかしさ、ネットワーク越しであるからこそ起こり得るキャラクターの行動。現実世界から逃れて別の存在になってしまいたい人間の欲望、現実世界では出来ないからこそ過剰に表わされる感情表現。

こういった部分をこれでもかと言うくらいに詰め込んだこの本、嫌いと言う人がいるのもうなずける部分も確かにあります。自分自身の暗く隠された部分をのぞき込むような感覚がはっきりと評価を分けるんでは無いでしょうか?。

現在は「ナツノクモ」と言う本が刊行されていて、最終巻を待つのみとなっているのですが私は単行本しか読んでいないので連載と言うか話の進展は全然わからないのですが。この「空談師」、聞く所によるとモチベーションが続かなくなり終了してしまったと聞いたことがあるのですが、作者の方自体こういう話を創造し続ける事はものすごいエネルギーを必要とするのでは無いでしょうか?。

他に類を見ない個性的な存在である「篠房六郎」氏、「ナツノクモ」ももう終わってしまうようなのですがまだまだ個性的な作品をリリースして頂きたいと切に願うばかりです。

空談師 1 (1)
価格:¥ 540(税込)
発売日:2002-10-23
空談師 2 (2)
価格:¥ 540(税込)
発売日:2003-02-21
空談師 3 (3)
価格:¥ 540(税込)
発売日:2003-07-23

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この記事を書いた人

もとメンエス店長、今は別な仕事になりました。
ぽちぽち書きます。

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