ある意味とても不思議な、本当の意味で幻想的とさえも言えるほどの現実と空想が入り交じって、まるで本当にある事のように思えてくる。クラークの本当の傑作 SF!。
ある少年がトラブルに紛れて潜り込んだホバーシップ、しかし機関のトラブルで海の真ん中で沈没してしまいます、脱出した乗員に取り残されてしまった少年を救ったのは一群のイルカたちでした。少年の乗ったいかだをある島まで交代しながら押して行ってくれたのでした。
その島は島民自身がイルカの島と呼ぶイルカの研究所のある島だった。研究所ではイルカと人間とのコミュニケーションを研究していて、イルカ語の解読、イルカに英語を教える事。等少しづつではあるが研究は進んでいるのです。
イルカに命を助けられた事から研究所の手伝いをする事になった少年は、イルカとのコミュニケーションをお手伝いする事になります。簡単なイルカ語を発生するように作られたコミュニケーターを使って少しづつイルカと友達になって行く少年…。
とても SF とは思えないほどの現実感をともなって語られる幻想的な海の描写や、イルカたちの姿。実はオーストラリアへ行けばグレートバリアリーフに今イルカの島があって研究所があっても不思議では無いかのような錯覚に囚われてしまいます。
この本はジュブナイルとして書かれているようなんですが、とてもそれだけにはとどまらない、それだけじゃなくて SF と言う枠さえも飛び越えて、はるかな高みへと到達しているように感じられてなりません。
主人公の少年が不幸な環境から飛び出して、イルカの島の暖かい人たちとイルカの友達に囲まれて、成長して行く過程も生き生きと描かれていて、思わず感動してしまいます。
長編では無いですが、A.C.クラークの作品の中でもトップクラスの作品では無いでしょうか?。
イルカの中には語り部がいて昔からの物語が語り継がれていて、大昔に異星人の宇宙船が海中に衝突したらしいエピソードなど、本編とは関係ないのですが、ちょっとわくわくしちゃいます。
イルカの島 (創元SF文庫) 価格:¥ 504(税込) 発売日:1994-02 |
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