昨日のエントリーを書いていたら思い出したのですが、非常に数少ない、気に入った小説を映画化したものがあるのですが、それが「フィリップ・K・ディック」の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」です。「ブレードランナー」の名前で映画化され、えー、ずいぶん前なので人気があったのかどうかは思い出せないのですが、私はこの映画が好きで、ビデオとか DVD とかでもう何回も見ています。
大きく様変わりした未来の都市の描写が素晴らしく、いわゆるきれいな未来ではなく、雑然とした退廃的な雰囲気の街の撮り方がすごく好きで、当時としてはすごく先進的だったのでは無いかと思うのです。街を埋め尽くす広告のディスプレイ、よく見ると日本語のものなどもあって、すごく独特の雰囲気があります。
ただこの映画私は映画館では見ていなくて、シネマスクリーンと言うか、すごく横長に撮ってあるものですから、これをテレビなどで観ると、中央部分に小さく写ってしまうものですからいつもそこを不満に思いながら観る事になってしまいます。一度でいいから映画館の大画面で観るべきでした。
何しろ昔の事なので、小説と映画の記憶がごっちゃになっているんですが、舞台は遠い未来、核戦争の後には荒廃した土地が残り、惑星植民地への移民が奨励され、人間は死の灰によっておびえながら、大都会に寄り集まるようにして生きています。惑星植民地へ行けるものは死の灰の恐怖も無く、従者としてのアンドロイドが付与されます。アンドロイドは年々高性能化され、中には密航して非合法に地球に舞い戻るものも多く、人間としては扱われないために、ハンターとしての警察官に狩られる事になってしまいます。主人公の「デッカード」もその一人。ある時新型のアンドロイドが地球に逃亡したとの情報が入り、デッカードが追跡する事になります。新型アンドロイドは高性能の人工頭脳を持ち、普通に見ている分には人間との区別がつきません、感情的反応を検査してやっと判別できる程なのです。
圧巻はラストシーンでしょう、次々と倒されて行くアンドロイド達、最後に残ったのはリーダーだった一体のアンドロイドだったが。
この作品は人間とは、命とはと言う問いを私たちに問いかけてきます。たしか「士郎正宗」氏の作品のせりふじゃ無かったかと思うのですが、「(アンドロイドが)どんどん進化して、人間と同じになっちゃったらそれはもう人間なんだよね」とロボットが言う場面があるのですが、この「ブレードランナー」に出てくる新型アンドロイドは寿命がとても短いのです、だからこそ生きると言う事に疑問を持ち、人間に問いかけます。このラストシーンは秀逸でしょう、とても感動しました。また主人公の「デッカード」が恋してしまった非合法では無い新型アンドロイド、最後の最後に「デッカード」は彼女と逃亡してしまうのですが、彼女の寿命は?短い人生を「デッカード」と過ごすのか?….。
この辺のおちも中々気に入ってしまっています。私の中でこの映画は時代を考えると最高点を上げても良いくらいです。
ところで最近ですごく面白いと感じた映画「マトリックス」の中で「ネオ」が「モーフィアス」と会うために車に乗って「モーフィアス」のいるビルへ着く場面。荒廃したビル、暗く降る雨。私はこのシーンを見た瞬間強烈に「ブレードランナー」を思い出してしまったんですけど、どうでしょうかね。それに今回初めて気付いたんですけどこの映画の監督「エイリアン」の「リドリー・スコット」なんですね、今まで気付きませんでした。
そういえばこの小説、確か「フィリップ・K・ディック」は自殺してしまってもういないのですが、確か続編を作ろうと言う企画があって、「ブレードランナー2」、「ブレードランナー3」と出て、2の方は購入した記憶があるのですが、独特の世界観が残っているのか?、怖くてまだ読めてません。
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 価格:¥ 672(税込) 発売日:1977-03 |
ブレードランナー2―レプリカントの墓標 価格:¥ 777(税込) 発売日:2000-04 |
ブレードランナー〈3〉レプリカントの夜 価格:¥ 945(税込) 発売日:2000-07 |
ディレクターズカット ブレードランナー 最終版 価格:¥ 2,100(税込) 発売日:1996-12-20 |
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