デイヴィッド・ブリンの知性化シリーズ第三弾「知性化戦争 上・下」です。初作「スタータイドライジング」の続刊と言う事になります。が、以前にも増して大作になっており、2巻合わせて本文 1051頁となっていて、本を見ただけで読むのに勇気が要るほどです。
注:ネタバレ注意
ただ「スタータイドライジング」同様面白さは際立っています。前作でイルカの乗る地球船「ストリーカー」が発見した、正体不明の大宇宙船団、そのデータを誤って地球に伝送したために、銀河の列強種族に傍受され、銀河で大紛争が始まります。
そのために地球及び各植民星は紛争に巻き込まれてしまう事になるのですが、その植民星の一つ「ガース」が舞台となっています。ガースに鳥型種族の敵「グーブルー」が秘密を求めて、進攻してきたのです。あっという間に制圧されてしまう脆弱な地球軍。化学兵器によって身動きが取れなくなり、反抗出来なくなってしまう人類、残されたのは人類によって知性化され人類の類族となったネオ・チンパンジーでした。
まだ知性化されてまもない若い種族であるネオ・チンパンジー、数少ない生き残った主族である人間と、勝ち目のないレジスタンスを始める。人類にとって数少ない味方の、悪魔のトリックスターと呼ばれる種族の「ティンブリーミー」の大使「ウサカルシン」は人類に生き残りの可能性を残すために知略を巡らすが、惑星「ガース」には、「グーブルー」が求めていたのでは無い、ある秘密があったのでした。
知らずして、その秘密とオーバーラップするように計略をめぐらせ、敵を相手にさえもジョークをしかける「ウサカルシン」、原始的な方法ながらも敵をてこずらせるネオ・チンパンジーのレジスタンス。
求める秘密が無いと知った「グーブルー」はある計画を実行に移そうとするが、人類の必至の攻防、主族を守ろうとする若い種族ネオ・チンパンジー、知略を巡らす「ウサカルシン」との攻防が始まる。しかし偶然にも「グーブルー」が思いも寄らなかった「秘密」の介入でとてつもない展開に、人類対「グーブルー」は…。
相変わらずの筆の冴えを見せる「デイヴィッド・ブリン」緻密なプロットと巧みな伏線、思いがけない展開と「「スタータイドライジング」以上の面白さ、近年のハード SF に置ける現代のスペースオペラ、ストーリーテラーとしての魅力が満ちあふれています。やはり物語は面白いのが一番。ここ最近の SF の中ではトップクラスの面白さ、と言っても言いかと思います。
しいて難点を挙げるとすれば、あまりに壮大な物語ゆえ膨れ上がるページ数でしょう。本の厚さを見ただけで気力が萎えそうになります。実際この続編「知性化の嵐」シリーズ、上下巻の三部作と言うとてつもない量。一部作は入手しているのですが、これから待っている膨大な文章量に恐れをなして、まだ読めません(^^ゞ。
これから少し時間が作れるでしょうから、気力が充実するのを待って、一気に読みましょう。思えば読んでいない本は色々あるのですよね。
上記のようにあまりの文章量に恐れをなして読めない物。今までのイメージが壊れるのでは無いかと怖くて読めない本。あまりに面白そうでもったいなくて読まずにとってある本など。
思わず回避して、数回読んでいる本に逃避したりするんですよね。
知性化戦争〈上〉 価格:¥ 714(税込) 発売日:1990-06 |
知性化戦争〈下〉 価格:¥ 795(税込) 発売日:1990-06 |
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