R・A・ハインラインの「宇宙の戦士」原題「Starship Troopers」直訳すると(宇宙船軍団)とでもなるようです、ハインラインは数々の優れた小説を書き残していますが、この作品ほどに物議を醸し出したものがあるでしょうか?、訳者の後記にも驚くほど大量の文章が書かれています。
いわく、「ハインラインはファシストか?」この本の中でほとんどを占めるのは、主人公であった「リコ」が少年であった所から宇宙軍に志願し、一人前の兵士になる訓練を受けるまで、それと実際に戦闘部隊に配置され戦う事の意味を問いかける。そういう部分がほとんどです。
ハインラインは文中で書いています。暴力は何事も解決しないなどとは戯言だ、これまでにどれ程の事が戦争を含めた暴力によって解決されてきただろうか、と。
しかし小説の中で問題にされているのは、「なぜ」戦わなければいけないのか?、と言う事です。
本当の事を言いますとハインラインが何度も何度も文中で問いかけているのにもかかわらず、私自身この「なぜ」に明確な答えは出せていないのです。自分自身の命を懸けて戦う事、他人を殺してまでも。「なぜ」か。
もしかしたら今の日本人にこの問いに答えられる人はいないのかも知れません、日本を守るために命を投げ出す人が現代にいるでしょうか?、自衛隊があるじゃないか?、と言う人もいるかも知れませんが、それこそ存在意義がそもそも違うのだと思わざるを得ません。
作者がアメリカ人であり、戦争経験者である。と言う事もあるのだと思います。経験に勝るものは無いのですからね、この作品を批判する人はたくさんいるようですが、作者を批判する事の出来る人などいるでしょうか。
こめんどくさい事も書いてしまいましたが、この作品はエンターテイメント作品としても一流です。もし SF が好きじゃないとしてもオススメの1冊です。
この小説は原題に近い「スターシップ・トゥルーパーズ」として映画にもなっていますね、映画自体はそれほど悪い出来とは思えないのですが、この「宇宙の戦士」をベースに考えると、ちょっと物足りない感じがします。本当にこの本を元にしたきちんとした映画の登場が待たれる所ですね。
でも日本においては、この本の挿絵を担当した「スタジオぬえ」の書いた挿絵の影響があまりにも強すぎて、他のイメージが持ちにくいのかも知れません。
上の写真は映画化された後に出た版のカバーなので、このようなカバーになっていますが、私が始めて購入した時はこんなやつでした。
他にこんなのもあるようです。これなんか作中に出てくるパワードスーツがそのまんまでてますね。
この本も私が中学生か高校生の頃に始めに読んだのだと思われるのですが、今読んで見ると当時わからなかったとこが分かったりして、新たな楽しみがあったりします。この先も楽しめると良いんですけどね。
コメント
コメント一覧 (2件)
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通勤に片道約1時間電車に揺られています。この本面白そうなので読んでみますね!
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すみれパパさんこんばんは。
更新をさぼったのでお返事が遅れてしまいました。この本は何回も何回も読みましたねえ、お気に召せばいいのですが。