ロック式トレモロ

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私の持っているギターで、YAMAHA の Pasifica(パシフィカ)はフロイドローズのライセンスを受けて生産された Rock’in Magic Pro3 と言うトレモロユニットが付いているんですけど、トレモロユニットと言っても色々あるんですよね。

長文注意
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私の Pasifica を購入した頃(ずいぶん前ですが)ウィルキンソンのトレモロがけっこう流行っていて、Pasifica も主力製品はそれが付いてたんですよね、それとヘッド側もナット部分でロックするんでは無く、ペグの所でロックするマグナムロックとか言うやつがけっこう出ていたと記憶しています。

ロック式トレモロとロックナットの組み合わせだと音が硬い、サスティーンはいいがボディー鳴りが悪いなどの理由だったかと思います。もっとも私自身はこのウィルキンソンのトレモロを使った物を弾いた事が無いので正直どんな特徴があるのか身を持っては知らないのですが、ある程度想像する事は出来ます。

だいたいの理解なので間違っていたら訂正して頂けると幸いなのですが、基本的に弦の両端部分の質量が大きいと、サスティーンは良くなるがボディーの鳴りは少なくなる傾向にあると思うのです。私の持っているギターを例に出すと、まず一番サスティーンが無くボディーの鳴るやつはガットギターでしょう。

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なぜなら、そこそこ質量のある弦に、超軽量なボディー、ブリッジも当然木製ですから軽量ですし、ヘッド自体も軽い上に、ペグもオープンタイプの物が付いていて軽くなっています。サスティーンは無いが、ボディーを最大限鳴らせる作りになっているのだと思います。

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次に YAMAHA のエレアコ APX-6 ですが、アコースティックギターとはちょっと違い、ボディーが小振りで、ボディーバックが樹脂で固めてあるので少し重くなってます。さらに内部にはプリアンプやら電池やらが入っているので質量に貢献しています。ブリッジ自体は軽量だと思いますが、細かく言えば内部にピエゾピックアップが装着されているので、本当のアコースティックギターよりはいくらか重量があるはずです。ヘッド自体は軽量ですが、ペグがダイキャスト製でギア密閉型のためそこそこ重量があります。つまり本当のアコースティックギターよりはサスティーンが良いのです、その分ボディーの鳴りは少ない傾向があります。

これはギターその物の性格からもそう設定されているものと思われます。これはエレキギターを弾く人が違和感なくステージでアコースティックの音を出すためのギター、と言う位置づけだと思います。ネックも細いですし、ボディーも小振りでエレキを弾く人にも弾きやすく出来ているのだと思います。鳴りにくいボディーも、アンプを通した際にハウリングを起こしにくく出来ています。したがって音自体も本当のアコースティックギターとは違います、金属的な成分が強く単体での音量は小さくなっています。私が本当のアコースティックギターが1本欲しいのもこの辺が理由になります。

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次にテレキャスターですが、これはちょっと微妙です。コンポーネントはボディーが鳴る傾向が強い組み合わせなのですが、ボディー材との絡みがあります。まずブリッジはエレキとしてはとても軽量な部類に入るでしょう、薄めの鉄板をプレスした物で出来ています(多分鉄です)しかもリヤピックアップを取り囲むように出来ていてボディーとの密着面も多いです。さらに弦のボールエンドもボディーの裏側に直接固定されます。ヘッドも小振りで、ペグもクルーソンタイプの軽量な物が付いています。ここまで見るとサスティーンはさほどでは無く、ボディー鳴りは良い。と思われるのですが、まずボディー材がけっこう容量の大きいしかも固めのアッシュが使われています。ライトアッシュ、などと呼ばれますが現在の物は昔の物に比べるとけっこう重いようです、密度も高そうです。そしてネックはメープルのワンピース。これも三角ネックっぽくなっているので握りやすいですが、けっこう太いです。この剛性の高いボディーが効いてて結果としてそれなりのサスティーンとボディーの鳴りが協調しているように感じます。

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つぎにストラトキャスターですが、テレキャスに比べるとサスティーンが良くなる要素が多いのです。テレキャスよりは大きいヘッド、ペグはおんなじクルーソンタイプですが、ブリッジはプレート自体は小振りの鉄板でサドルも軽量な板金製ですが、ブリッジプレートの下にその名もサスティーンブロックが付いています。鉄製かダイキャスト製かよく分からないのですがおそらくダイキャスト製と思われます。物の本によるとストラトを開発しては見た物のあまりのサスティーンの悪さに悪戦苦闘して考えついたのがこのサスティーンブロックの様です。ここに重りをつける事によってブリッジ側の弦の支点に重量をつけてサスティーンを良くしようと試みたものと思われます。なぜそんなにサスティーンが悪かったのか、おそらくはそのボディー形状による物と思われます。ストラトは3ピックアップのためにボディーのざぐりがけっこう大きい、しかも初期型はともかくとしてほとんどはボディー材に柔らかめなアルダーを使用しています、そのため案外大きいボディーにも関わらず、サスティーンよりも鳴る要素が大きいようです。後期型、あるいは最近のモデルでラージヘッドでペグがロトマチックタイプの物を使用している物はサスティーンも良いんじゃないかと思います、フロイドローズを使用している物は言わずもがなですね。

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これに当てはまるのが YAMAHA の Pasifica ですね、大きめのヘッドにダイキャスト製ペグにロックナット、ブリッジはフロイドローズライセンスのロック式トレモロ、ボディーとの接点はいわゆるナイフエッジ式になっているのでサスティーンを優先させた作りになっていると思います。ただボディー材がアルダーな事、ホーン部(角のとこですね)が大きめにとんがっているので、鳴りと見た目の派手さを兼ね備えているのだと思います。実際サスティーンが良い割にボディーも良く鳴ります。

少し前だと(ずいぶんかな?)ケーラーのトレモロユニットとか、 YAMAHA でも Rock’in Magic Pro1 の頃はあんまり出来が良く無くて、ロック式の割にはサスティーンがあんまり無い、なんて言うことも合ったように記憶しているのですが。

ウィルキンソン製のトレモロは軽量に出来ているらしいし、作りによってはボディーべた付けのタイプもあるようなので、フロイドローズよりはボディーの鳴りを優先させたのでしょう、一時期いわゆる暖かい音、アナログな音が求められた時代にマッチしたのでは無いかと考えています。でも、組み合わされる事が多いロック式のペグは少し重そうですね。

自分の好みはと言うと、全部好き。ですね(^^ゞこんな事言ってるからギターが増えちゃうんですよね。

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この記事を書いた人

もとメンエス店長、今は別な仕事になりました。
ぽちぽち書きます。

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