宇宙のランデブー 2

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前回紹介した「宇宙のランデブー」の続編、「宇宙のランデブー 2」上下巻です、前巻の末尾で匂わせていたように、「ラーマ」が70年ぶりに帰ってきたのです。

注:ネタバレ注意
最も A.C.クラークはあの最後の文句「ラーマ人は何事も、三つ一組にしないと気がすまない。」と言うのは、最後に作品に余韻を残すために付け加えたのであって、続編を作る気は無かった。と言う事のようです。しかも今回は(今回からは)「ジェントリー・リー」との合作です。

あの「ラーマ」が帰ってくるのです、全巻では謎のまま始まり、人類の調査も何も無視したまま謎を残しどこかへ去って行く。と言うとんでもない話でしたが、だからこそあの特有の衝撃感を受けたのだと思います、その「ラーマ」が70年ぶりに帰ってくる。1回目の「ラーマ」訪問の後、遠距離からでも飛行物体をキャッチできる衛星を人類は作り上げます。しかしその後大々的な経済成長を遂げた人類は全世界規模の経済恐慌に見舞われ、何億人もの人々が死に絶え、経済はかつてないほど低迷し、やっと回復の道に乗り始めた所に「ラーマ」が帰ってくるのです。

かつての経験を元に編成された探検隊はしかし以前とは違う「ラーマ」の姿に戸惑い混乱します。人間的な問題も吹き出し、探検の初期から問題が多発し、「ラーマ」の軌道が地球に向かう事で緊張は最高潮に達します。人間は「ラーマ」を核攻撃する事を決定するのです。なぜ「ラーマ」は地球軌道へと向かったのでしょうか?。

「ラーマ」が地球軌道に向かう事は必ずしも敵対意図を持つ物では無いとの意見は無視され、「ラーマ」破壊派が多数を占めてしまいます。ちょっとしたきっかけから、「ラーマ」のコンピュータとコンタクトを取れる事になった少数の人間は、「ラーマ」を破壊から守ろうと、必死で異質なメンタリティーと格闘し救おうとするのです。

私の悪い癖で、前回思い出した「宇宙のランデブー」気になって読んで見たらやっぱり面白かったので、この片づけ期間に出てきた「宇宙のランデブー」の続編まで読み始めてしまいました。でもやっぱり面白いです。前回のきわめて異質な物体を、淡々と語る。それがまたショッキングだったのですが、今回からは「ジェントリー・リー」との合作と言う事もあるのか、人間性の描写に重点が置かれています。それでもなお謎を残す「ラーマ」、しかし少しずつではありますがその謎を説く鍵を少しずつ表して行きます。

そういえば本文とは関係ないのですが、「 A.C.クラーク」のような優れた SF 作家と言うのは中々ユーモアに富んだ面白い後書きを書きますよね、この本の後書きを読んで、「アイザック・アシモフ」のことを思い出してしまいました。「アシモフ」も「クラーク」や他の SF 作家仲間を引き合いに出して面白い文章を良く書いていたなと思い出しました。

彼ら、言い方は悪いですが昔の天才達が少しずつ往ってしまうのは寂しい物です。確かに新しい優れた作家は台頭してきていますが、彼らとはまた違った良さがあるように思います。それは古い新しいでは無く、単に彼らの個性なのかもしれませんが、最後の最後に間に合った、リアルタイムで彼らの作品を読めたという事は幸せな事だったのだと思います。

宇宙のランデヴー
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発売日:1985-09
宇宙のランデヴー2〈上〉
価格:¥ 714(税込)
発売日:1994-12
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この記事を書いた人

もとメンエス店長、今は別な仕事になりました。
ぽちぽち書きます。

コメント

コメント一覧 (2件)

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    『宇宙のランデブー』、ネタバレ注意とあるにも関わらず読み進んで、すごく面白そうと興味を持ちはじめているのですが、今から七冊というのはちと辛いものがあります。

    音楽でもなんでもなんですが、あらゆるジャンルに古典はあり、その先行作品を網羅することのなんと困難なことであろうかとため息する思いです。私が主に取り組んできたジャンルはなにかというと、これといったジャンルもなかった……。そんなホームポジションを持たない私には、SFの作品群はあまりに高い山と感じられて仕方ありません。

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    コメントありがとうございます、私の場合は逆に、少し SF に偏り過ぎているかなと思います。すでに小学生の頃にその傾向はあって、中学生の頃にはもうほとんど SF しか読んでいなかったと思います。「ダーティーペア」等もこの頃に出会いました。この頃に身に付いてしまった嗜好が今でも影響しています。時代背景もあったのだとは思います、始めてスペースシャトルが飛んだり、ボイジャーの探査結果が驚異の(当時は)映像を送ってよこしたりしていた時代でした。

    「宇宙のランデブー」の場合1巻目を取りあえず読んで見る、と言うのも一つの手だと思います。独特の空気感を持った持った優れた小説だと思います、この一冊だけでも物語としては完結しているのです。

    ただ強いて言えば2巻以降は合作になったせいか微妙に雰囲気が変わっています。私も今読み直している所なのですが、始めて読むと「宇宙のランデブー 3」辺りは少し冗長に感じられるかもしれません。しかし「宇宙のランデブー 4」での圧巻のクライマックスがあるのを(私は)知っているために今「宇宙のランデブー 3」を読んでいます。

    ただ、わたしも「R.A.ハインライン」の「獣の数字」等はそのあまりの厚さに躊躇してしばらく読めませんでしたし、今でも「デビッド・ヴリン」の知性化シリーズ「知性化の嵐」は購入はした物のあまりの大作にまだ読む気になれません。

    確かに古典を含めて網羅したいという「欲」は私にもあるのですが、その時その時で面白い物、感動した物を追求して行けば結果としての嗜好性が現れてくるのでは無いでしょうか?

    私の場合は音楽にしろ、小説にしろ「おまえは偏り過ぎている」と非難される事が多いので(^^ゞ。それが自分のホームポジションと言うほどの意識は持てないでいます。他にも素晴らしい物がたくさんあるのは知っているので、もっと時間が欲しいですね。

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