エリア88

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新谷かおるつながりで、「エリア88」です。昭和54年初版となっています…。えらい昔の話ですね。でも当時はこの漫画に夢中になっていて、松本零士氏の「戦争漫画シリーズ」とともに当時の青春を彩るシリーズになっています。
当時はまだ子供で、かっこいい戦闘機は出てくるは、空中戦、戦術用語なんかが出てくるかっこいい漫画だと単純に思っていたのですけど、今あらためて読んで見ると、もちろんそれだけじゃすまない事は、見た事があるひとなら当然ご存知だろうとは思うのですけど。

戦争の悲惨さ、非条理さ。その中での戦友同士の繋がり、意地。そういったものをもろもろ重ね合わせていっしょにしちゃったら。そういう漫画ですね。

特に最後のシーンがすごく印象的で悲しくて、悲惨で。今でも最後のシーンになると読むのをやめたりなんかするんですが。前半部の景気の良い戦勝ムードのあって、ある種無機的に戦闘をこなす渋く決めたシーンが多いのですけどね、後半になるにつれて人間同士のどろどろとしたもの。人間の愚かさ。そういったものがいっせいに吹き出してきて。そのまま最後の戦闘シーンへと突入してしまいます。

歴戦の戦友達も一人また一人と死んで行き、とうとう最後の戦闘に突入してしまいます。主人公のシンは、自分を裏切り世界を戦闘に巻き込んだ昔の親友神崎ととの戦闘に生き長らえる事は出来るのですが、人格を保つ事が出来なくなって、記憶喪失になってしまいます。

一騎当千で知られた「エリア88」もこの世から存在しなくなって、何もかもなくなってしまうかに思われた時に、象徴的な存在として生まれ出てくるものは無垢の赤ん坊です。

希望の象徴としての存在として描かれているのですけど、何もかもなくなった後に新しい希望に満ちた世界はつくれるのでしょうか?。不吉かも知れないのですが、私はどうしても「パンドラの箱」の事を思い浮かべてしまうのです。欲にまみれて「パンドラの箱」を開けた人間はありとあらゆる災厄をこの世に飛び出させてしまいます。

しかし彼の侵したもっとも大きい罪は災厄を箱から出してしまった事では無く、最後の最後に箱から出てきたもの「希望」を出してしまった事だと言うのです。「希望」さえなければ、「諦め」さえも無くとも済むのに…。と言うのです。

今でも世界はあんまり変ってない気がします。

名作だと思います。

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この記事を書いた人

もとメンエス店長、今は別な仕事になりました。
ぽちぽち書きます。

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