サターン・デッドヒート

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なんだかんだと、とうとう31日になってしまいました。この年末年始は本でも読んで休もうかと思っていて、本も用意していたのですが、途中まで読みかけの本があったので紹介して見たいと思います。グラント・キャリンの「サターン・デッドヒート」です。

注:ネタバレ注意。
実はこの本ずっと以前に購入し、何となく気が乗らず読まずにとってあったのですが、一度最後まで読んだら気に入ってしまい、以来何度も読んでいます。続編もあるのですが、この本あんまり人気がなかったのか、すでに本編、続編ともに廃版になってしまっていて、中古でも中々探せずにいます。続編の上巻だけあるのですが、下巻を持っていないために、もどかしい思いをしています。

土星の衛星の一つイアペトゥスで異星人の物と思われる金属板を発見した事から話は始まります。スペースコロニーの大学で考古学を教えていた「クリアス」が暗号解読のためにデスクワークの毎日から引っ張り出されて、土星域で金属板探しに連れ出されてしまいます。相棒となったのは妊娠中に宇宙放射線を浴びたために異常に IQ の高くなったかわりに肉体的には弱くなってしまった「ジュニア」でした。二人は暗号通信を傍受していた地球船と金属板をめぐって土星系で対立してしまいますが、「ジュニア」の卓越した頭脳と彼の改造した宇宙船「パンドーラ」のおかげで地球船に先んじる事が出来ます。

金属板の獲得と暗号解読には成功した物の危険を承知で自分を送り出したスペースコロニーのボスと決裂してしまう「クリアス」、またもとの大学教授の職に戻るが、「ジュニア」と飛んだ土星系の事が忘れられずに、また土星系の異星人の遺産を探しに戻るべく深宇宙パイロットの資格を取り、再度「ボス」との対決を経て、土星へ戻る事に成功します。それからが…。

この小説は一つには土星系の詳細な描写が魅力的な点だと思うのですが、各種探査機での実際の情報を元に書かれたのだと思われます。いみじくも A.C.クラークが「3001年終局への旅」(だったと思う)で(探査結果を)「もう待たない事にした」と述べるなど、現実での各種探査結果が SF に及ぼす影響をかいま見るようで、興味深いです。

ただこの本での本当の魅力は主人公たる「クリアス」と「ジュニア」あるいは他の人々との人間関係の描写にあるのだと思います。巻末の解説にもあるように、さわやかな読後感が味わえる傑作だと思います。それだけに作者「グラント・キャリン」がほとんどこの作品以外には小説を書いていない事が残念です。さらに日本でも人気がなかったのか、新品は廃版になっていて手に入らないし、出回った数も少ないのか中古でもほとんどお目にかかる事はありません。

いわゆるハード SF の範疇を超えない中での人間関係の妙を書いているようで中々だと思います。中古でも構わないので続編の「サターン・デッドヒート2-ヘキシーの星のライオン- 上下」の下巻を手に入れたいと思っています。

とか言っていたら Amazon で手に入るようですね、さっそく注文してしまいました(^^ゞ。

サターン・デッドヒート

サターン・デッドヒート2―ヘキシーの星のライオン〈上〉

サターン・デッドヒート2―ヘキシーの星のライオン〈下〉

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この記事を書いた人

もとメンエス店長、今は別な仕事になりました。
ぽちぽち書きます。

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