新宿鮫

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大沢在昌の「新宿鮫」です、警察の事を詳しく描写した小説として最近では出色の出来では無いでしょうか?、警察機構の事なども含めてここまで突っ込んで書いたものはあんまり見ないような気がします。そこへ魅力的な登場人物をそろえて、独特のストーリーに支えられた世界は、まだもう少し完全とは言えませんが、そこがまた独特の雰囲気を醸し出しているのかもしれません。

注:ネタバレ注意
舞台は新宿、犯罪者からは「新宿鮫」と呼ばれ恐れられている一人の刑事、彼は本当ならキャリア警察官として、将来を約束された人生を歩むはずだったが、公安上層部の暗躍に巻き込まれ、新宿署の警部、防犯課の刑事として最前線で単独で活躍することになる。

残念ながら私は「大沢在昌」の小説を「新宿鮫」シリーズしか読んでいないのですが、この小説の魅力の一つには警察機構、警察自体の詳細な描写にあると思います。もちろんストーリーも魅力的なのですが、一人の特異な警察官としての主人公があっての話だと思います。ただここまで警察その物に焦点を当てた小説はこれまでなかったのでは無いでしょうか?。そういう点では、このシリーズのどの作品でも、おそらくは膨大な取材活動をしたであろうことは容易に想像がつきます。

ここまで警察自体にこだわった小説であるからには、間違った事を書く訳には行かないであろうと思うからです。ただもちろん小説は小説で、この本に登場する主人公のような警察官がいるかと言うとそれは疑問です。ただこれは膨大な取材の中で警察の良い所と、悪い所両方を知ってしまった作者にとっては、その矛盾の中で自然発生的に生まれてきたのかもしれません。

特異な警察官として、現実には存在しないであろう主人公を登場させ、活躍させる事は自然と警察機構の矛盾などがそのまま小説としてのこの本を魅力的にしている要因になっている気がします。

「新宿鮫」シリーズは現在9巻出ていて、私はまだ8巻までしか読んでいないのですが、公安上層部の暗躍に巻き込まれる原因となった事件がこの主人公を特異な存在にしています、いつかこのシリーズが終わる時が来るとしたらその原因を爆発させなければ終われないだろうと言う気がしています。9巻目はまだ読んでいないので、その「原因」が何らかの進展をするのでは無いかと少し期待しています。

P.S.8巻までの新宿鮫は新書判なのに、最新刊の9巻だけハードカバー版なのはなぜなのでしょうか?

新宿鮫
価格:¥ 840(税込)
発売日:1990-09
新宿鮫〈2〉毒猿
価格:¥ 860(税込)
発売日:1991-08
新宿鮫〈3〉屍蘭
価格:¥ 860(税込)
発売日:1993-03
新宿鮫〈4〉無間人形
価格:¥ 860(税込)
発売日:1994-07-29
新宿鮫〈5〉炎蛹
価格:¥ 860(税込)
発売日:1995-10
新宿鮫〈6〉氷舞
価格:¥ 890(税込)
発売日:1997-10
新宿鮫〈7〉灰夜
価格:¥ 880(税込)
発売日:2001-02
新宿鮫〈8〉風化水脈
価格:¥ 940(税込)
発売日:2002-03
狼花 新宿鮫IX
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2006-09-21

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この記事を書いた人

もとメンエス店長、今は別な仕事になりました。
ぽちぽち書きます。

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